新着情報

「地域日本語支援ニュース こだま」に掲載されました

2020年12月18日(金)

少し前になりますが、2020年11月12日発行の「地域日本語支援ニュース こだま 第391号」で、さぽうと21の活動を紹介する記事が掲載されました。

コロナ禍においても元気に活動を続ける学習支援室の様子を発信しています。
よろしければ、ぜひご一読ください!

 

【地域日本語支援ニュース こだま】とは:
⽇本語教育に関する事業を全国で⾏っている公益社団法⼈国際⽇本語普及協会(AJALT)発⾏のメールマガジンです。各地域で在住外国⼈に対する⽇本語・⽣活⽀援に携わっている⽅々に役⽴つ情報の共有を⽬指し、毎月2回配信されています。

 
<以下、発信されたメールマガジンより該当部分を抜粋しています>
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新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言後も、いち早くオンラインで活動を再開し、その後休むことなく活動を続けてきました。活動を支える原動力はどこにあるのか、コーディネーターの矢崎さんにご寄稿いただきました。
 
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学びの場で出会えることの喜びを忘れずに 〜オンラインで走り続けた167日間〜

社会福祉法人さぽうと21 学習支援室コーディネーター 矢崎理恵
 
◆オンラインが運んでくれた「新しい日常」

はい、皆さん、おはようございます。
 ─おはようございます〜
では、今日もお部屋分けしていきますね〜。
待っている間、今週、何かいいことがあった人はぜひ教えてください。
 ─あの、わたし、いいことありました。宗教のことですけど、言ってもいいですか?
はい、もちろんどうぞ
 ─あの、コーラン、皆さん、知ってますか。
知ってます。読んだことあります。
 ─まだ全部じゃないんですけど、おとといの前の日、30のうち、10ユニット、暗唱できるようになりました。
へえ、聞いてみたい。
 ─え、いいんですか。
もちろん、お願いします。

2020年10月の某土曜日、午前10時。今やすっかり当たり前となった、さぽうと21学習支援室朝の一コマです。朝からみんなで一緒にAちゃん(高校1年生)のコーランの読誦を聞いて心を潤し、訪ねたこともない異国の風景を目に浮かべるなど、1年前だったら考えることもなかったでしょう。オンラインが運んでくれた「新しい日常」です。
 
◆背中を押してくれた一本の電話

2020年4月16日の夕方、今年高校1年生になったS君のお母さんから電話がありました。「うちの子、ず〜っと家にいて、全然勉強していません。高校生になったばかりなのに、ダメですよね。でも、私じゃ何もできないんです。なんとか助けてもらえませんか」
新型コロナウィルス感染拡大が連日報道される中、学習支援室の教室活動をお休みにし、何も具体的な手立てを講じることなく、やり過ごす日々が続いていました。「今の状況ではオンラインで対応するしかない」と思いつつも、初めの一歩を踏み出せずにいた私たちの背中を押してくれた一本の電話でした。

ん〜、Zoomって使える?
 ─大丈夫です、たぶん。大丈夫。やります。
じゃあ、明日の朝の10時、やってみましょう。
 
◆オンライン上の「教室」は大事な学びの場

翌4月17日金曜日、数週間ぶりにパソコンの画面ごしにS君と再会したその日から、さぽうと21のオンライン個別学習支援が始まりました。2020年9月末現在、オンラインで参加した学習者はのべ1,945人、ボランティアのべ1,674人、計3,619人。一日も休むことなく、すでに167日間、オンライン上の「教室」が続いています。新規参加のボランティアに加え、一時は東京を離れ、活動に参加できなくなっていた方々など、茨城、宮城、長野、静岡、大阪、そしてロンドンからも「教室」を訪ねてくださっています。オンライン上の「教室」は、みんなで少しずつ形をつくりあげてきた、大事な学びの場です。
幾度となくZoomの勉強会を開き、オンラインの学習支援の方法について互いに知恵を出し合いました。新しくZoomデビューした方がいれば、日本人外国人関係なくやり取りを重ねてデビューを応援し、オンラインの学習支援で困ったことがあれば皆で相談し、面白いアイディアがあれば皆で共有する
・・・何とか学びの場を継続しようと、みんなでがんばってきています。
 
◆オンラインで平日夕刻の学習も可能に

オンライン個別学習支援を始めたことで、教室開催は平日の夕刻も可能となりました。個々の学習支援に加え、受験を控えた中学3年生には、平日も毎日16時〜19時、3時間の「中3部屋」が用意されています。「今日もこんにちは」とやってくる子ども達は、時にはくやしそうに、時には嬉々として、「中3部屋」に登場し、ボランティアの方にその日の出来事や心情を吐露します。多感な中学3年生の日常がほんの少しだけでも透けて見えてきたことは、学習支援者に様々な気付きを与えてくれています。
 
◆「一人も取り残さない」ための学習支援

さぽうと21は、2020年度から2022年度にかけて、公益財団法人日本国際交流センター(JCIE)が実施する 「外国ルーツ青少年未来創造事業−外国にルーツをもつ子供・若者の社会的包摂のための社会基盤作り」の事業実施団体のひとつとして、『「一人も取り残さない」ための包括的学習支援展開事業−拠点型・アウトリーチ型・オンライン型学習支援を組み合わせて-』という事業を進めています。参加する皆さんの前向きで、温かい気持ちを原動力に展開する事業です。

「今日もこんにちは」と学びの場で出会えることの喜びを忘れずに。
やっぱり、「今日も、こんにちは」
そして、「今日も、ありがとう」。

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