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空白の時間を越えられず…

2017年11月20日(月)

難民等定住外国人の自立支援を続けてきているさぽうと21で、何ともその解決が難しいと感じることがあります。

 

長い「空白の時間」を克服して、その形を作り直そうとする「親子」の支援です。

 

1人母国を離れ、日本にたどり着き、難民として在留が正式に認められただけでは、母国においてきた家族を呼び寄せるわけにはいきません。

仕事をし、その方の収入、生活が安定し、初めて家族を呼び寄せるための手続きをすることができます。

 

それでも、申請して1回ですぐに家族呼び寄せが可能になるわけではなく、気がつけば、夫と妻、父と子、母と子の間には、何年もの空白の時間が流れることとなります。

 

やっと念願かなって家族が来日し、共に生活を始めた時に、夢に描いていた家族の生活が、いきなり現実のものとなります。夢と現実の違いに戸惑い、苦しむ親子も珍しくはありません。長い「空白の時間」は、どんな支援の方策を練ったとしても、容易に埋められるものではないことに気付かされます。

 

もう何年も前に、こんな作文を綴った母親がいました。

 

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私は10数年前に来日しました。

 

私には一人の娘がいます。私はその娘と●年しか一緒に暮らしませんでした。娘はまだ赤ちゃんでした。その後、私は娘をおいて、海外に逃れました。そのまま娘と十年以上も会っていませんでした。ですから、心では娘がいると認めているけれども、誰かから家族のことを聞かれると、娘をうっかり忘れてしまう事もありました。

 

今、娘は日本に来ました。娘と一緒に住んでいます。でもある日、娘が「日本には自分の家族がいない、友だちもいない」と言ったのを聞いてびっくりしました。娘の心にも私はちゃんとお母さんとして存在していない時があるのです。家族はやっぱり一緒に住んでいないと、家族の意味がなくなってしまうのでしょうか。

 

私は今、娘と十数年ぶりに一緒に暮らしています。私はいつも娘と一緒に住むことを願っていましたので、今、願いがかなえられてうれしいけれども、娘は思春期ですから思春期の特徴、つまり親に口答えをします。私が娘を好きなように、娘も私のことを好きに違いないと思っています。でも、反抗ばかりする娘との生活はストレスがいっぱいです。

 

娘も私を愛していると言いながら、「10年以上も自分を預けっぱなしにして、今さら何よ」とストレスがいっぱいで、仲が悪いです。私も親ですから、娘は私に従ってほしいです。娘は娘でお母さんの愛が欲しいです。けれども、素直に言えない時期ですから、ほんとに困っています。そういう状態を受け止める事は、10数年ぶりに突然親に戻った私には、とっても難しいです。

 

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作文は綿々と続きます。

「こんなに難しそうな母子でも、いつか時が解決してくれるだろう」と思いたいのが、人の心情だろうと思います。ただ、娘の来日から長い歳月が流れた今も、この母子の関係は、やはりぎくしゃくしたままのようです。

 

「空白の時間」はどうしたら越えていけるのでしょう・・・。

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