「先輩」の力
少し前になりますが、5月14日(土)の12時~13時半、来日から7年、この春看護師として働き始めたUさんにさぽうと21までいらしていただきました。Uさんは、育った国での学歴は認められず、夜間中学で勉強を始めました。都立高校に進んだ時に、高卒認定試験のための勉強も始め、さぽうと21に勉強に来るようになりました。
14日は、「先輩の話を聞く会-看護師になるまで、そして今-」として看護師希望の高校3年生2名、中学2年生1名のために、お話をしていただきました。「よろしければご同席ください」とボランティアの方々にもお声をかけましたら、10名以上の方々がご一緒下さいました。
コーディネーターの矢崎の方で司会をさせていただきましたが、ほとんど司会は必要ないぐらいに、先輩Uさんと高校生達の話は続きました。
そのやりとりを、学生ボランティアの方々が文字おこししてくださいました。(公開のためにご本人の了解をいただき、文言を一部修正しています。また、文字数を若干抑えるために全体は普通体を基本にしましたが、Uさんは終始丁寧で心のこもったお話ぶりだったことも申し添えておきます。)
1時間半、若いお嬢さんたちのお話をずっと聞かせていただき、それも実に新鮮でした。会が終わった時に、高校生に「ほかに聞いておきたいことはないの?」と聞きましたら、「連絡先!」と速攻の返答。それもまた新鮮でした。
そして、ボランティアの「大人たち」が退散した後も、先輩Uさんを囲んで高校生達がずっと話し続けるその様子は、何と表現していいか分かりませんが、心が落ち着く光景でした。
参加者の大人たちからもUさんにたくさんの言葉が寄せられました。一部ご紹介。
「努力の上の努力の末、夢を叶えられた姿が輝いて見えました。 他の人が遊ぶ中、ここにいては楽しすぎて勉強出来ないとシェアハウスを出られたとのお話に、これは中途半端な覚悟では出来ないと、本当に感服しました。」
「同じ道を目指そうとしている後輩たちに勉強の厳しさと同時に仕事の素晴らしさやちょっといいところ等々、希望を持てるような一言をさりげなく付け加えるあたたかさに心が和み、この人の心を思いやる姿勢こそ看護師には欠かせない資質だと感心しながら聞いていました。 」
「着の身着のまま育った国から逃れるということ、一人で無国籍で日本で生活していくことなど、看護師になる前の状況も私の想像を超えることであり、苦労という言葉では表現出来ないことと思っております。私個人としては、Uさんのお話をまずは「生きる、生き抜く」という視点で捉え、頭が下がる思いでいっぱいでした。」
「先輩」の力は、後輩たちに大きな安心感、夢の実現の可能性、目標を達成していくことの厳しさを、大きな温かさでくるんで届けてくれたように思います。
Uさん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。