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さぽうと21支援生紹介~アギーレ ヘレーラ マリエル ナルミさん

2022年11月21日(月) 支援生

私は、2022年4月よりさぽうと21でお世話になっている、ペルーにルーツをもつ修士課程の学生です。

 

大学院では、外国にルーツをもつ子どもの出自言語(ルーツの言語、親の母語)に着目した研究をしています。私が今の研究に出会うのには、自身の生い立ちが関連していますが、研究の他にも生い立ちやルーツは、時には悩みの種であり、またある時には何かに挑戦をするきっかけでもありました。今回は、私の生い立ちに触れながら、今の研究に出会ったきっかけについてお話したいと思います。

 

私は、日系ペルー人の父とペルー人の母との間に日本で生まれ、ずっと日本で育ってきました。1歳になる前から保育園に入ったこともあり、日本語の環境に浸っている時間は特に長かったように思います。

そのため、なのかはわかりませんが、日本語に困難を感じることはあまりなかったような気がします。しかし、日本で育ってきたからこそ、容姿で判断されたりすることや、外国人として線引きされたりすることなど、自分が思う自分と、他者からみられる自分との差異に悩むことがありました。そのため、クラス替えや転校、進学といった新しい環境の変化は、私にとって1つの壁でした。しかし、年齢を重ねていく中で、周りの人々(中学校の先生や大学の先生など)のおかげで、だんだんと自分のルーツを肯定的に捉えられるようになりました。

 

私が今の研究に興味をもつきっかけとなったのは高校生のときでした。私は現在、宇都宮大学大学院に通っていますが、宇都宮大学の国際学部には、通称HANDSという外国人児童生徒教育支援事業があります。

HANDSでは、主に日本語を母語としない子どもへの学習支援や、多言語による高校進学ガイダンス、外国人児童生徒の進路状況調査、外国人児童生徒教育推進協議会など多様な取り組みがなされています。

私は、この中の高校進学ガイダンスに体験談発表者として参加する機会を頂き、それがHANDSとの出会いでした。HANDSとの出会いは、自分にとって2つの大きな気づきがあり、1つは、自分と同じ生い立ちの人々がいること、そして2つ目が外国人児童生徒教育という課題があることでした。

特に、2つ目の気づきは、自分のルーツや経験が活かせるかもしれないと思い、宇都宮大学国際学部に進学するきっかけにもなりました。

 

学部時代は、授業を通して外国人児童生徒教育に関する諸問題を学び、実践の場としてボランティア(学習支援)にも励みました。

正直に言えば、入学当初は大学院進学を全く考えていませんでした。しかし、ボランティアの経験を通じて、教科書で学ぶことが全てではないこと、また子どもたちや先生方とのコミュニケーションを通して、目の前にある課題に尽力する姿を見て、研究という形で何かできないかと思いが芽生え、気が付けば大学院に進学していました。

 

自分の生い立ちのおかげで、今の研究に問題意識をもち、そして、さぽうと21の皆さんのおかげで充実した研究生活を送れています。悩みの種だった自分の生い立ちやルーツが今こうして研究や学業に活かすことができているのは、周りの人々のおかげです。自分の生い立ちやルーツに悩んでいる子どもはたくさんいると思いますが、私が助けられたように、次は私が彼らに何かのきっかけを与える人になりたいです。

それが研究を通してのことかもしれませんし、ボランティアを通してのことかもしれません。とにかく少しでも恩返しできるように、今は研究に励みたいと考えています。

 

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