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被災者の方と鼓(つづみ)を通して交流

2013年07月12日(金)

罹災後離ればなれに暮らす方々の再会の機会(同窓会)を設け、能楽囃子大倉流大鼓奏者の大倉正之助さん(重要無形文化財総合認定保持者)や地元の方々のご協力を得て、鼓体験ワークショップを開催いたしました。

 

1日目
体験ワークショップ (大崎市立鳴子小学校 体育館) ・ 同窓会

鳴子小学校には、地元の皆さんが家族連れでご参加下さり、伊藤康志大崎市長にもご出席を賜りました。中には仙台市から駆けつけて来て下さった方もいました。

ワークショップでは、まず大倉さんから鼓の由来や演奏目的、「大鼓」と「小鼓」の奏法の違いなどを丁寧に説明していただいた後、お弟子さんの助けを借りて、実際に参加者一人ひとりが大鼓を打つ稽古をしました。

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「神の使いである馬の皮を張った鼓は叩くのではなく打つもの。馬が驚かないように、そっと打ってみよう」との大倉さんの教え通り、力を入れずに打つと思いがけず澄んだ音が耳に届き、子どもたちも大喜び。参加者は皆、熱心に稽古に取り組んでいました。

こうやってたたきますよ!
ワークショップ後半、久しぶりの再会を果たした被災者25名がバスで到着すると、1時間の稽古の成果を披露してお迎えしました。

 

25名の皆さんも稽古に加わり、能楽を身近に感じていただく機会となりました。

 

 

夜、鳴子ホテルを会場とした「同窓会」では、昨年の交流会でお会いした方の他、最近になってようやく集まりに参加するお気持ちになったという方もいらっしゃいました。

お話を伺いながら、心の奥に抱えた大きな重荷を少しずつ言葉に表すことで、ご自身もその言葉を受け入れ、前を向こうとなさっているのではないかと感じました。

 

2日目
鳴子神社での鼓の奉納 ・ 体験ワークショップ(鬼首基幹集落センター)

翌日7日は、創建837年との記録が残る総檜造りの鳴子温泉神社に被災者の方々とともに参拝し、鼓の奉納を行い、人々の安寧を祈願しました。

IMG_0508午後は、伝統芸能鬼首神楽で知られる鬼首地区にて、後藤錦信鳴子国際交流協会会長の司会で、前日同様にワークショップを開催いたしました。

 

同地区を含む大崎市は2008年6月に起きた岩手 ・ 宮城内陸地震で震度6弱を観測(震源は隣接する栗駒市)。

東日本大地震による直接的な被害は少なかったものの、放射能によって農地が汚染され、未だ除染作業が進んでいません。

毎年酪農家から引き受けてきた牛の放牧や、出荷用の山菜採りもできない状況に置かれています。
地域では震災後人口がさらに減少。過疎化も深刻です。震災は、地震や津波による目に見える被害に留まらず、広範囲かつ長期間に渡って、地域経済と人々の毎日の暮らしを脅かしています。

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この度被災者が集まる「同窓会」と鼓体験ワークショップの舞台となった鳴子温泉は、東日本大地震発生時、沿岸部から避難してきた約1100名の方々を受け入れました。

また、温泉神社には、第二次世界大戦中の学童疎開で滞在していた人々が、当時のお礼を込めて、高齢になられた今もなお参拝に訪れると聞きます。

 

 

多くの人々を温かく包み込んできた鳴子温泉にて、多くの個人 ・ 企業様のご協力のもと、今回の企画を実施することができ、大変ありがたく存じます。

 

 

 

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